住宅ローン控除とは?特徴や適用条件、必要書類を徹底解説!

住宅を購入する際は、数千万円単位の高額な費用がかかります。
そのため、多くの方は住宅ローンを利用すると思います。
そこで役立つのが、住宅ローン控除です。
住宅ローン控除を活用することで、所得税や住民税の負担が軽減されます。
とはいえ、住宅ローン控除制度は比較的複雑であり、内容を正しく理解しておかなければメリットを最大限に引き出せません。
そこで今回は、住宅ローン控除の特徴や適用条件、必要書類について詳しく解説していきます。

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目次

住宅ローン控除とは?

住宅ローン控除とは、正式名称を「住宅借入金等特別控除」といい、年末時点での住宅ローン残高の0.7%を所得税や住民税から控除できる制度のことです。

例えば、ローンの残高が1,000万円だった場合、7万円が控除の対象となるため、税負担を軽減できます。

そんな住宅ローン控除ですが、控除率や控除適用期間は住宅の種類や条件によって異なるため注意が必要です。
ここでは、取得した住宅の種類別に控除率と控除適用期間を紹介していきます。

新築・買取再販住宅の控除率と控除適用期間

新築住宅や買取再販住宅では、住宅ローン控除の適用期間が原則13年に設定されており、控除率は年末の住宅ローン残高の0.7%です。

借入限度額は以下の通りです。

  • 長期優良住宅・低炭素住宅:2022年~2023年入居(5,000万円)、2024年~2025年入居(4,500万円)
  • ZEH水準省エネ住宅:2022年~2023年入居(4,500万円)、2024年~2025年入居(3,500万円)
  • 省エネ基準適合住宅:2022年~2023年入居(4,000万円)、2024年~2025年入居(3,000万円)
  • その他の住宅:2022年~2023年入居(3,000万円)、2024年~2025年入居(0万)

中古住宅の控除率と控除適用期間

中古住宅の場合も、控除率は新築と同じく年末のローン残高の0.7%ですが、控除期間は原則10年間とやや短めに設定されています。

借入限度額は、

  • 長期優良住宅
  • 低炭素住宅
  • ZEH水準省エネ住宅
  • 省エネ基準適合住宅

の場合で3,000万円、それ以外は2,000万円です。
(2022年~2025年入居)

2024年度税制改正での変更点

2024年に行われた税制改正では、住宅ローン控除に関して複数の見直しが行われました。
ここでは、代表的な変更点を4つ紹介していきます。

省エネ基準を満たさない住宅は対象外

2024年度の税制改正で最も大きな変更点は、省エネ基準を満たさない住宅が対象外になったことです。

これまでは性能基準にかかわらず、一定の新築住宅が対象となっていましたが、近年のエネルギー効率向上や脱炭素化の影響を受け、要件が大幅に厳格化されました。

対象となるのは・長期優良住宅・低炭素住宅・ZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅など、省エネ性能が確認されたものに限定されます。

新築・買取再販住宅の借入限度額引き下げ

2024年度の税制改正では、新築および買取再販住宅の借入限度額も引き下げられました。

具体的な借入金額の上限は先ほど紹介した通りです。

縮小額は住宅の種類別で500万円~3,000万円となり、省エネ性能の低い住宅ほど借入金額が縮小されています。

ちなみに、中古住宅に関しては、借入限度額の変更はありませんので注意してください。

子育て世帯・若者夫婦世帯は借入限度額の縮小見送り

一方で、子育て世帯や若者夫婦世帯については、上記の借入限度額の縮小が見送られ、従来通りの上限額が適用されます。

子どもがいる家庭や夫婦のどちらかが40歳未満の場合、一般世帯よりも手厚い控除が維持されています。

ただし、省エネ基準を満たさない住宅は対象外となりますので注意が必要です。

新築住宅の床面積要件の緩和措置における建築確認期限の延長

新築住宅の床面積要件に関する緩和措置では、建築確認の期限が2024年度から延長されました。

床面積が40㎡以上50㎡未満の住宅については、一定の条件下で緩和措置が適用されていましたが、その対象となる建築確認期限が2025年まで延長され、より多くの住宅が制度を利用できるようになっています。

この変更により、特に都市部で普及が進むコンパクト住宅でも、住宅ローン控除を受けやすくなりました。

また、共働き世帯や単身世帯といった、多様なライフスタイルに対応する住宅選びが可能になっています。

住宅ローン控除の適用条件

住宅ローン控除は、住宅の種類ごとに適用条件が細かく定められています。

新築・中古・リフォームのすべてに共通する要件もありますが、住宅の性能や築年数によって対象外となるケースもあるため注意が必要です。

ここでは、住宅ローン控除の適用条件を、住宅の種類別に紹介していきます。

新築・買取再販住宅の場合

新築住宅や買取再販住宅で住宅ローン控除を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります。

【適用条件】

  • 新築等の日から6か月以内に住居として使用していること
  • この特別控除の適用を受ける年分の12月31日まで引き続き居住として使用していること
  • 10年以上にわたって返済する住宅ローンがあること
  • 2以上の住宅を持つ場合には、主に居住すると認められる住宅であること
  • 居住した年および、その前2年の合計3年間において譲渡所得課税の特例を受けていないこと
  • 居住した年の翌年以後3年以内に居住した住宅以外の一定の資産を譲渡し、当該譲渡について譲渡所得課税の特例を受けていないこと
  • 住宅の取得等が生計を一にする親族や特別な関係のある者からのものでないこと
  • その住宅の取得が贈与によるものでないこと
  • 次のいずれかの区分において、床面積条件を満たしていること

【特例居住用家屋または特例認定住宅等】

  • 40㎡以上50㎡未満であり、かつ1/2以上を自己の居住としていること
  • 取得金額が1,000万円以下であること

【上記以外】

  • 50㎡以上であり、かつ1/2以上を自己の居住としていること
  • 所得金額が2,000万円以下であること

参考:No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁

中古住宅の場合

中古住宅の場合は、先ほど紹介した新築物件取得での要件に加え、以下の要件を満たしていなければなりません。

【追加の適用条件】

  • 建築後に使用されたことがある中古物件であること
  • 購入時および購入後において生計同一親族からの購入でないこと

ちなみに、中古住宅とは以下いずれかの条件を満たす物件のことです。

【中古住宅の定義】

  • :昭和57年1月1日以降に建築されたもの
  • :取得の日前2年以内に耐震住宅であることが証明されたもの
  • :❶、❷以外で取得日までに耐震改修の申請をし、居住日までに耐震改修基準に適合することが証明されたもの

参考:A1~A6 – 令和4年分 住宅借入金等特別控除を受けられる方へ(新築・購入用)|国税庁

リフォーム・増築の場合

リフォームや増改築で住宅ローン控除を利用する場合、一定の工事内容や費用に関する条件があります。

【適用条件】

  • 自己の所有する居住用家屋の増改築をしたこと
  • 増改築等の日から6か月以内に居住していること
  • 10年以上にわたって返済する住宅ローンがあること
  • 増改築等をした後の床面積が50㎡以上あること
  • 補助金等を控除した後の工事費が100万円を超えること
  • 対象となる増改築等で証明がなされたものであること ※

※対象となる工事については、いくつか種類がありますので、国税庁の公式サイトをチェックしてみてください。

参考:No.1211-4 増改築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁

住宅ローン控除の最大控除額

住宅ローン控除では、住宅の種類や性能によって「最大でいくらの控除を受けられるか」が変わります。
以下、最大控除額の目安を住宅の種類別に見ていきましょう。

新築・買取再販住宅の場合

新築・買取再販住宅の最大控除額は、省エネ性能に応じて大きく異なります。

控除率は一律0.7%ですが、借入限度額が最大控除額を左右するため、事前にしっかりと確認しておかなければなりません。

例えば、長期優良住宅・低炭素住宅の場合は借入限度額が4,500万円~5,000万円に設定されており、13年間で受けられる控除額は最大400万円前後となります。

ただし、上記金額はあくまでも「理論上」の数値となりますので、参考程度にお考えください。

中古住宅の場合

中古住宅は、控除期間が10年間と短いため、最大控除額も新築や買取再販住宅と比べると少なくなります。

控除率は同じく0.7%ですが、借入限度額は省エネ基準を満たした住宅で3,000万円、その他の住宅は2,000万円となるため、最大控除額は200万円前後、一般住宅では140万円前後が目安です。

ただし、中古住宅でも性能次第では新築と同様に大きな控除を受けられるケースがあり、特に耐震基準を満たした住宅や性能向上リフォーム済みの住宅は税制上も有利になります。

住宅ローン控除を受けるための必要書類

住宅ローン控除の申請を受けるには、確定申告で複数の書類を提出する必要があります。

代表的な必要書類は、以下の通りです。

  • 確定申告書
  • 本人確認書
  • 建物・土地の登記事項証明書
  • 建物・土地の不動産売買契約書
  • 源泉徴収票
  • 住宅ローンの年末残高等証明書
  • 特例要件を証明するための書類

それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

確定申告書

住宅ローン控除の申請には「確定申告書」が必要です。

特に初年度は年末調整では手続きできないため、自ら税務署へ確定申告書を提出する必要があります。

国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用すれば、画面に沿って入力するだけで必要書類一式が自動生成されるため、ぜひ活用してみてください。

本人確認書

確定申告では、申告者本人であることを証明するための書類が必要です。

マイナンバーカードがあれば、本人確認と個人番号の両方を確認できるため簡単に証明が行えます。

マイナンバーカードがない場合、通知カードと免許証などの本人確認書類を組み合わせることも可能です。

本人確認書類が不足していると申告手続きが完了せず、控除適用が遅れてしまうことがあるため、慎重に手続きを進めていきましょう。

建物・土地の登記事項証明書

登記事項証明書は、取得した住宅や土地の所有者・所在地・構造・床面積などを証明する書類です。

住宅ローン控除では、床面積の要件や所有権の有無を確認するための重要書類となります。

この書類は、法務局の窓口だけでなく、オンラインの登記情報サービスから取得することも可能です。

また、この書類は原則提出が必要となりますが、住宅借入金等特別控除額の計算明細書に「不動産番号」を記載すれば省略できます。

建物・土地の不動産売買契約書

不動産売買契約書は、住宅を取得した際の売買条件や代金、引き渡し時期などを証明する書類です。

住宅ローン控除では、実際に住宅を取得した事実や取得時期を確認するために必要な書類となります。

契約書には、

  • 売主と買主の情報
  • 物件の所在地
  • 契約金額
  • 支払いスケジュール

などが細かく記載されているため、コピーを提出しても問題ありません。

源泉徴収票

給与所得者が住宅ローン控除を申請する際には、必ず「源泉徴収票」が必要です。

源泉徴収票には、年間の給与収入や所得控除額、源泉所得税額などがまとめられており、住宅ローン控除額を計算する際の重要資料となります。

源泉徴収票は、通常勤務先が年末に配布しますが、副業をしている場合は複数の源泉徴収票が必要になることもありますので、事前に確認しておきましょう。

住宅ローンの年末残高等証明書

住宅ローンの年末残高等証明書は、金融機関が毎年発行する書類です。

この書類には、その年の12月末時点でのローン残高が記載されています。

住宅ローン控除の金額は、この年末残高に控除率(0.7%)を掛けて算出されるため、非常に重要な書類です。

証明書は金融機関から郵送されるほか、インターネットでダウンロードできるケースもあります。

夫婦でペアローンを組んでいる場合は、それぞれの残高証明書が必要になりますので、忘れずに準備しましょう。

特例要件を証明するための書類

住宅ローン控除には、省エネ住宅や認定住宅、耐震改修など、特例を受けるための追加要件があります。

これらの特例を利用する場合には、それぞれの要件を証明するための書類が必要です。

例えば、省エネ基準適合住宅の場合は「省エネ性能証明書」、認定住宅であれば「認定通知書」などを用意しなければなりません。

これらの書類は、住宅性能を示す重要な書類であり、提出がない場合は特例が適用されず控除額が減ってしまうことがあるため注意してください。

住宅ローン控除の手続きの流れ

住宅ローン控除を確実に受けるためには、毎年の手続き方法を正しく理解しておくことが大切です。
ここでは、1年目の手続きと2年目以降の手続きについて詳しく解説していきます。

1年目は確定申告を行う

住宅ローン控除を初めて受ける年は、会社員であっても必ず確定申告が必要です。

確定申告の時期は、毎年2月16日から3月15日の間で、この期間中に税務署へ申告書類を提出します。

先ほども解説したように、確定申告にはさまざまな書類が必要になりますので、余裕を持って準備を進めておくことが大切です。

2年目以降は年末調整で申告を行う

2年目以降の住宅ローン控除は、確定申告ではなく年末調整で行います。

「住宅借入金等特別控除申告書」と「年末残高証明書」を勤務先に提出するだけで完了するため、初年度に比べると負担が大幅に軽減されます。

ただし、年末調整を受けない会社員や個人事業主は、2年目以降も毎年確定申告が必要となるため注意してください。

住宅ローン控除を利用する際に覚えておくべきポイント

住宅ローン控除を利用する際は、以下のポイントを覚えておくことが大切です。

  • 借り換えをしても控除を受けられる
  • ふるさと納税をしているとメリットが減る可能性がある
  • 申告を忘れてしまったら「還付申告」を行う

それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

借り換えをしても控除を受けられる

住宅ローン控除は、ローンの借り換えを行っても基本的に継続して利用できます。

ただ「返済期間が10年以上であること」「住宅ローンの返済を目的に借り換えていること」が条件です。

また、借り換え後に適用される控除期間は、元の期間の残りを引き継ぐため、延びることはありません。

ふるさと納税をしているとメリットが減る可能性がある

住宅ローン控除は、所得税からの控除を基本とし、控除しきれない分は住民税からの控除に回されます。

一方、ふるさと納税も所得税・住民税から控除される仕組みのため、住宅ローン控除の効果が大きい場合、ふるさと納税の控除枠が圧迫されるケースがあります。

特に、年収が高くなく、住宅ローン残高が大きい家庭では、ふるさと納税で全額控除されず、実質的な「自己負担額」が増えることもあるため注意してください。

申告を忘れてしまったら「還付申告」を行う

住宅ローン控除の申告を忘れてしまった場合でも、諦める必要はありません。

住宅ローン控除は「還付申告」が可能であり、過去5年分まで遡って申告できます。

例えば、2024年に気づいた場合でも、2019年分までであれば申告が可能です。

ただし、還付申告ができるのは、還付が発生するケースのみで、追加の納税が必要な場合には使えません。

まとめ

住宅ローン控除は、マイホーム購入時の経済的負担を大きく軽減できる非常に重要な制度です。

控除率や適用期間は住宅の種類や性能によって異なります。

特に2024年度の税制改正における「省エネ基準の適用強化」や「借入限度額の見直し」などについては、しっかりと覚えておかなければなりません。

また、控除を受けるには適用条件を満たす必要があり、手続きの流れも確認しておくことが大切です。

さらに、ふるさと納税との関係や借り換え時の扱いなど、注意点も多いため、事前に正しい知識を身につけておきましょう。

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この記事を書いた人

大学卒業後、大手不動産仲介会社に就職。
5年間勤めた後、建売会社で2年間仕入れ営業を経験した後に、クルーズカンパニーへ入社。
主に広報活動や執筆活動を担当しています。
出身地:群馬県
家族:妻 長女 長男
趣味:キャンプ カメラ 釣り

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