不動産の買い替えを検討している方にとって、買い替え特例は大きな節税効果を得られる重要な制度です。
自宅や事業用不動産を売却して新しい物件を取得する際、通常であれば売却益に対して譲渡所得税がかかりますが、買い替え特例を利用すれば、その税金を将来へ先送りできます。
ただし、制度の内容はかなり複雑であるため、事前に正しい知識を身につけておかなければなりません。
そこで今回は、不動産の買い替え特例の特徴や適用条件、メリットやデメリットについて詳しく解説していきます。
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不動産の買い替え特例とは?

不動産の買い替え特例とは、現在所有している不動産を売却し、新たに別の物件を購入した場合に、売却益(譲渡所得)にかかる税金の課税を将来に繰り延べできる制度です。
本来、譲渡所得が発生すると所得税と住民税がかかりますが、この特例を利用することで、買い替え後の不動産を売却するまで課税が先延ばしされます。
特に、買い替えに伴う大きな資金移動を予定している場合、手元資金を圧迫せずに新たな住まいや事業用物件を取得できるため、大きなメリットを得られます。
ただし、居住用か事業用かで適用条件が異なるため、どちらに当てはまるかを事前に確認しておかなければなりません。
居住用不動産の買い替え特例
居住用不動産の買い替え特例は、自宅を売却して新しい自宅を購入する場合に利用できる制度です。
一定の条件を満たしていれば、旧住宅の売却益に対する税金を将来へ繰り延べることができます。
特に、住宅価格が上昇しているエリアに住んでいる方や、資産価値が高くなっている住宅を売却する場合は課税負担が大きくなるため、この特例のメリットは非常に大きくなります。
事業用不動産の買い替え特例
事業用不動産の買い替え特例は、店舗や事務所、倉庫など事業に使用している不動産を売却し、新たに事業用不動産を取得する際に使える制度です。
居住用特例と同様に課税所得税を繰り延べできますが、事業用の場合は面積や用途の継続性など、より厳密な条件が設定されているため注意が必要です。
特に、取得する土地が元の土地面積の5倍以内であることや、用途が事業として継続していることなど、投資目的と区別するための基準が多く含まれていますので、事前に確認しておきましょう。

居住用不動産の買い替え特例を利用するメリット

居住用不動産の買い替え特例は、自宅を売却して新たに住み替えを行う際、譲渡所得税の負担を軽減できる便利な制度です。
以下、この制度を活用することで得られる代表的なメリットをいくつか紹介していきます。
譲渡所得税を繰り延べられる
居住用不動産の買い替え特例を利用する最大のメリットは、譲渡所得税を将来に繰り延べできる点です。
本来であれば、住宅を売却して利益が出た場合、所得税や住民税、復興特別所得税などが課税されます。
しかし、この特例を利用することで旧住宅の売却益についての課税が、新しく購入した住宅を売却するまで先延ばしできるようになるのです。
特別控除よりも大きな節税効果を得られる場合がある
居住用不動産の売却時に利用できる制度として「3,000万円の特別控除」がありますが、売却益が大きい場合は買い替え特例の方が高い節税効果を発揮します。
特別控除は3,000万円までしか控除対象になりませんが、買い替え特例は売却益が1億円以下であれば控除の対象となります。
つまり、売却益が3,000万円を超える場合は、買い替え特例の方がお得になる可能性が高いということです。
旧住宅の売却益を新規住宅の取得費用に充てられる
買い替え特例を利用すると、通常は税金として支払うべき費用を、そのまま新居購入の資金に充てられます。
より広い住宅への住み替えや、立地条件の良いエリアへの移住を検討している場合、初期資金の余裕は大きな強みとなります。
また、ローン借入額を抑えることにも繋がり、将来の返済負担軽減にも効果的です。

居住用不動産の買い替え特例を利用するデメリット

居住用不動産の買い替え特例は、大きな節税効果を得られる一方で、利用にあたってはいくつかのデメリットも存在します。
以下、代表的なデメリットを見ていきましょう。
利用条件が厳しい
買い替え特例を利用するためには、居住期間が10年以上あること、売却代金が1億円以下であることなど、さまざまな条件を満たす必要があります。
また、売却から買い替えまでの期間も厳格に定められており、原則として売却後1年以内に買い替えを行わなければなりません。
これらの条件をくまなく満たすためには、事前の確認や専門家への相談が不可欠です。
譲渡所得税を支払わなくて良いわけではない
買い替え特例の大きな誤解として「税金が免除される」という認識がありますが、実際には税金の支払いが免除されるわけではありません。
あくまでも課税が未来へ繰り延べられるだけであり、買い替え後の住宅を売却する際には、繰り延べられた分の税金がまとめて課税されます。
将来の売却時には、想定以上の税負担が発生する可能性があるため、長期的な資金計画が必要です。
2度目の買い替えでは利用できない
この特例は、旧住宅を売却した際の譲渡所得税を一時的に先送りにするものですが、使用できるのは原則1回までです。
中には「何度も売買を繰り返して税金の支払いを先延ばしにしよう」と考える方がいるかもしれませんが、次回以降の住宅取引で繰り延べた税金の負担を軽減することはできないため、注意してください。
3,000万円控除との併用ができない
不動産の買い替え特例は、先ほど紹介した3,000万円の特別控除との併用ができません。
利用する際はどちらか一方を選ぶ必要があるため、売却益や買い替えの予定、長期的な資金計画を総合的に判断して選択する必要があります。
場合によっては、特別控除の方がお得になるケースもあるため、自分にとってどちらが有利かを事前に確認しておきましょう。
居住用不動産の買い替え特例適用条件

買い替え特例を利用するためには、税務上細かく定められた条件を満たす必要があります。
適用範囲は広いものの、適用条件を見落とすと特例が認められない可能性があるため、事前にしっかりとチェックしておくことが大切です。
ここでは、居住用不動産の買い替え特例適用条件を詳しく解説していきます。
国内の財産であること
買い替え特例の対象となる不動産は、日本国内に所在していることが必須です。
海外不動産の売却や取得は制度の対象外となるため、海外転勤を理由に物件を売却するケースや、海外移住を見据えた買い替えなどでは利用ができません。
あくまでも「国内の住宅」に限定される制度ですので、事前に確認しておきましょう。
居住期間が10年以上であること
特例を適用するためには、譲渡する不動産に10年以上居住していなければなりません。
つまり、短期的な住み替えや、投資目的の運用物件は特例対象にならないということです。
なお、10年以上の居住期間を満たしているかどうかは、住民票の記録などで確認されるため、実際の居住実態と記録が一致していることも重要です。
売却代金が1億円以下であること
買い替え特例の対象となるのは、売却益が1億円以下の住宅です。
都市部や人気エリアでは、売却益が1億円を超えるケースもあるため、事前に査定や売却計画を確認しておく必要があります。
この条件を理解しておらず、1億円を超える物件を売却した場合、金銭的に大きなデメリットを被ることになるため注意してください。
買い替え後の不動産の床面積が50㎡以上、土地面積が500㎡以下であること
取得する新しい住宅は、床面積が50㎡以上であることが条件です。
一般的なマンションや戸建てであればクリアしやすい条件ですが、コンパクトなワンルームやセカンドハウスでは条件を満たせないケースもあります。
また、土地面積が500㎡以下であることも必要で、広大な土地を購入する場合は対象外となるため注意しましょう。
親族への売却でないこと
買い替え特例は、売却先が親族である場合は利用できません。
親族間の売買は、税務上「財産移転」と判断されやすいため、節税目的の不自然な取引を防ぐためにこのような規定が設けられています。
親族の範囲は、配偶者・親・子・兄弟姉妹など幅広く含まれるため、売却相手との関係性を確認しておきましょう。
その他の特例を利用していないこと
住み替え特例は、3,000万円控除などとの併用ができません。
併用不可の特例を同時に利用しようとすると、どちら見認められない可能性が高くなるため注意が必要です。
このようなトラブルを防ぐためには、事前に税務署や専門家に相談しておくのがおすすめです。
売却後1年以内に買い替えを行うこと
買い替え特例は、旧住宅の売却から1年以内に新しい住まいを取得することが条件となっています。
売却と購入のタイミングが離れてしまうと、特例が使えなくなるため、スケジュール管理が非常に重要です。
スムーズかつ確実に制度を利用するためにも、資金計画や引っ越し計画など、全体の流れを早めに設計しておきましょう。
取得した翌年末までに居住を開始していること
新しく取得した住宅には、購入した年の翌年末までに入居する必要があります。
投資用として購入した場合や、長期間入居せずに放置してしまった場合は特例が適用されません。
意図せず引越しのタイミングが遅れた場合も、条件を満たせなくなるため、入居時期の見通しを事前に立てておくことが大切です。
事業用不動産の買い替え特例を利用するメリット、デメリット

事業用不動産の買い替え特例は、法人・個人事業主が事業目的で利用している不動産を売却し、新たな事業用資産へ買い替える際に利用できる制度です。
ここでは、事業用不動産の買い替え特例を利用するメリット、デメリットをわかりやすく解説します。
メリット
事業用不動産の買い替え特例を利用する最大のメリットは、譲渡益に対する課税を繰り延べられる点です。
通常、事業用不動産を売却して利益が出ると、その年に多額の譲渡所得税を支払わなければなりません。
しかし、特例を使うことで納税を先送りにしつつ、新しい設備や不動産の取得費に資金を回せるため、キャッシュフローの改善に大きく貢献します。
また、老朽化した事務所や倉庫、工場などを効率的に更新できるため、事業の生産性強化にも繋がります。
デメリット
一方で、買い替え特例の適用には多くの条件があり、それらの条件を満たさないと利用ができません。
特に「同一事業で使用する資産への買い替え」「取得期間の制限」「売却額と取得額のバランス」など、複雑な条件もあるため事前にチェックしておくことが大切です。
また、税金が免除されるわけではなく、あくまでも将来に繰り延べられるだけであるため、いつかは支払わなければならないということを頭に入れておきましょう。
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事業用不動産の買い替え特例適用条件

事業用不動産の買い替え特例を適用するためには、居住用とは異なる独自の要件が定められています。
ここでは、代表的な条件を紹介していきます。
事業用であること
この特例を利用するためには、譲渡する不動産および新たに取得する不動産が「事業用資産」でなければなりません。
事業用とは、店舗・工場・事務所・賃貸用不動産など、収益活動に使用している資産のことです。
個人事業主・法人のどちらも対象になりますが、プライベート用途が混在している場合は、事業割合が明確に判断できる資料が求められることもあります。
保有期間が10年以上であること
譲渡する不動産は、10年以上保有していることが条件となります。
これは、長期的に事業の基盤となっている資産の買い替えに限定し、短期売買による節税目的の利用を排除するための条件です。
保有期間は登記簿上の取得日から算出され、贈与や相続で取得した場合にも、全所有者の保有期間を算出できるケースがあります。
そのため、事前に保有期間を確認しておくことが大切です。
譲渡期間を過ぎていないこと
買い替え特例を利用するには、譲渡のタイミングが定められた期間内であることが必要です。
具体的には、前年の1月1日から当年の12月31日までに譲渡が行われていることが求められます。
この期間外の場合は特例を利用できず、多額の譲渡所得税が発生する可能性があるため注意が必要です。
ちなみに、譲渡時期の判断は契約日・引渡日によって異なるため、専門家に相談しながら準備を進めていくことをおすすめします。
譲渡価格が1,000万円以上であること
事業用不動産の買い替え特例は、譲渡価格が1,000万円以上であることが条件の1つとなっています。
というのも、この特例は事業資産として一定規模以上の価値を持った不動産の買い替えを想定した制度であり、これより小規模な売却については適用されません。
なお「譲渡価格=売却額」であるため、手取り額や利益額ではなく、売買契約上の金額で判断されます。
スムーズに特例を利用するためにも、査定段階で基準を満たす売却額になっているかを確認しておきましょう。
取得する土地が元の土地面積の5倍以内であること
買い替えによって取得する新しい土地は、元の土地の5倍以内でなければなりません。
これは、節税目的で過剰な資産を取得することを防ぐために設けられた制限です。
事業拡大のために多少規模を大きくする分には問題ありませんが、極端な拡張は制度の対象外となります。
元の土地よりも大きな土地を取得したい場合は、事前に5倍以内になっているかどうかをチェックしておきましょう。
用途が一貫していること
事業用不動産の買い替え特例を利用するためには、譲渡した事業用不動産と新たに取得する不動産の用途が一致している必要があります。
例えば、賃貸アパートから賃貸アパート、工場から工場といったように、同じ用途で事業を継続することが前提です。
用途を変更した場合や、事業性が曖昧な用途に転用した場合は特例の対象外となります。
効率よく申請を進めていきたい場合は、用途の計画書や賃貸計画書などを準備して、事業の継続性を客観的に証明することが大切です。
まとめ
不動産の買い替え特例は、居住用・事業用いずれの場合でも、売却時の譲渡所得税を大幅に軽減できる非常に便利な制度です。
特に居住用特例では、売却益に対する課税を新しく購入した住居を売却するまで繰り延べられる点が大きなメリットであり、資金計画の柔軟性が高まります。
一方で、適用条件が厳しいことや、控除ではなく「先送り」に過ぎないといった特徴がある点は理解しておく必要があります。
また、事業用特例でも用途が一貫していることや保有期間要件など、多くの条件が設けられており、要件を満たさなければ適用されません。
居住用・事業用いずれの場合でも、不動産の買い替えを検討している場合は、早めに制度の内容を確認し、必要に応じて専門家に相談しながら進めていきましょう。
クルーズカンパニーでは、不動産の買い替え(住み替え)の徹底サポートを行っております。
ご事情によっては買い先行・売り先行の取引を数多く行っており、直接買取ることも可能です。
不動産の買い替え(住み替え)をご検討の方は、お気軽にご相談ください!

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