マンションの家賃相場は、どのように決まるかご存じでしょうか。環境や地域の特徴により家賃相場が変わるため、具体的にどのように家賃相場が決まるかを知っておくことが重要です。家賃相場の決め方にも種類があるため、下記に示す方法を把握して家賃相場を決定しましょう。
そこで今回は、マンションの相場の決め方や家賃相場が変わる理由について解説します。ご自身のマンションを適正価格で貸すためにも、マンションのオーナーの方はぜひ参考にしてください。
家賃相場が変動する条件
家賃相場が変動するための条件はいくつかあり、同じ物件でも家賃相場が異なるため、どのような条件により変動するかを理解する必要があります。家賃相場を決定づける立地条件や物件の特徴、特別条件、契約内容の4つを解説します。
立地条件
同じような建物でも、立地条件が異なると家賃相場は変わります。都心部にアクセスがしやすい地域や住みたいランキングで上位の地域は、賃貸価格は高いです。駅からの距離によっても賃料は異なり、急行電車の停車駅の地域では家賃相場が高く設定されています。
周辺の建物によっても家賃相場は変わります。マンションの近くにデパートがあったり、教育施設が充実していたりする場合は、家賃相場が高くなります。
物件の特徴
物件の特徴により、賃貸相場が変わります。物件の賃貸価格を決定する主な項目は、築年数や間取り、構造などです。築年数が新しい物件は、構造や間取りが同じでも賃貸価格は高くなります。また、マンションの階数や位置によっても賃貸相場は異なり、高層階や角部屋、日当たりがよい部屋は賃貸価格が高い傾向にあります。
契約方法
賃貸借契約の契約方法により、賃貸価格が変動します。期間限定の定期借家契約などは、賃貸料が安いことが多いため、契約内容による適正相場をきちんと確認する必要があります。
契約方法による家賃相場の違い
上記でも紹介したとおり、契約方法により家賃相場は変動します。ここでは、普通借家契約と定期借家契約の違いについて解説します。
普通借家契約
普通借家契約は、もっとも一般的な契約方法です。普通借家契約は2年ごとに更新することが多く、正当な理由がない限り大家から契約の解除は行えません。普通借家契約で契約すると、気に入った物件に長い期間住み続けられます。
定期借家契約
定期借家契約は、貸す期間を定めたうえで賃貸契約を結ぶ方法です。大家の定めた契約期間のみ物件を貸せるため、転勤や今後住む予定がある方が利用するのに向いています。定期借家契約は、普通借家契約よりも家賃相場が低く設定されており、普通借家契約の8割程度の賃貸価格のことが多いです。
定期借家契約で契約を結ぶと、入居者は期限をむかえると必ず退去しなければいけません。そのため、家賃をおさえて決められた期間のみ住みたい方が定期借家契約を選びます。
家賃の鑑定評価手法の種類
家賃の不動産鑑定評価は、賃貸事例比較法や積算法、収益分析法の3つに分けられます。鑑定手法を知ることで、適切な家賃を決定できます。それぞれの鑑定手法について確認しましょう。
賃貸事例比較法
賃貸事例比較方法は、似たような物件と比較して賃貸料を決める方法です。物件の特徴だけでなく、立地条件や特別条件を考慮して賃貸料を決定します。そのため、その地域の賃貸相場と似た価格で賃貸料を設定できます。
積算法
積算法は、物件の投資利回りを考えたうえで家賃を決定する方法であり、「基礎価格 ×
期待利回り ＋ 必要経費」で計算できます。比較する物件がない場合に積算法を利用することが多く、賃貸事例比較法が行える場合は、積算法はあまり利用されません。マンションなどの一般的な家賃を算出する際は、賃貸事例比較法を利用することが多いです。
収益分析法
収益分析法は、事務所や店舗の家賃を決定する際に利用します。物件の収益を目的として算出するため、一般的な住居では使用しません。
初心者がほかの物件の家賃と比較する方法
ほかの物件の家賃と比較すると、適正な家賃相場を設定できます。初心者でも行える、ほかの物件と比較する方法を2つ紹介します。
賃料査定で比較する
不動産に賃料査定を依頼することで、適正な価格を設定できます。初心者がほかの物件と賃料を比較すると、誤った比較方法を行う可能性があります。プロに依頼することで、地域の賃貸相場と同じ賃料に設定できます。
賃料査定は、ひとつの不動産だけではなく複数の不動産に依頼するのが望ましいです。賃料査定は不動産により賃貸相場が異なる場合があるため、複数の不動産に依頼しましょう。
ウェブサイトで賃料を比較する
ご自身で賃料査定を行う場合は、ウェブサイトで比較しましょう。ウェブサイト上では、条件を指定して絞り込めるため、希望の地域や立地を限定して賃貸相場を知ることが可能です。調べたい地域に同じような物件がない場合は、調べる地域を広げられます。
ウェブサイトで賃料を比較する際は、参考程度に確認するのがよいでしょう。ポータルサイトにより、賃貸価格が異なる場合があります。そのため、より具体的な賃貸相場を知りたい方は複数のポータルサイトで検索するのがおすすめです。
家賃を決定する際の注意点
家賃を決める際は、いくつか注意点があります。家賃の価格決定で失敗しないためにも、どのような点に注意すべきかを確認しましょう。
総合的な費用で考える
家賃の賃料だけでなく、総合的な費用で考えましょう。賃料が周りよりも安くても、敷金や礼金、管理費が高いと顧客には選ばれません。家賃を低く設定すると需要が上がりますが、総合的な費用を意識しないと赤字になる可能性があります。
専門家の意見を聞く
家賃を決定する際は、専門家の意見を聞くことが重要です。家賃設定を行ったことのない素人では、誤った認識で価格を決定してしまうかもしれません。専門家に相談することで、周りの物件と似たような価格に設定できます。
収入支出を計算する
収入支出を計算して、家賃を決定しましょう。定期借家契約で貸す際に、あまりにも賃料を下げてしまうと、修繕費などで損をする場合があります。転勤などで使用しない物件を貸し出す際は、適切な賃料設定が重要といえます。
家賃を変更する場合について
時間の経過と経済状況により、賃貸料を改定するのが望ましいです。賃貸料を改定しないと、入居者が増えずに空室リスクが上がる可能性があります。ここでは、どのようなタイミングで賃貸料を見直すべきかを解説します。
家賃を下げる場合
経年劣化や設備の故障などで家賃を下げる場合がありますが、家賃を下げるかは慎重に行う必要があります。一度家賃を下げるとその後は家賃を上げづらいため、賃貸料を下げてもよいか相場と比較することが重要です。
賃貸料を適正価格に設定しても、新規入居者が決まらない場合があります。空室が長い場合は、不動産業者と相談して価格を調整する必要があります。
家賃を上げる場合
家賃を上げる場合は、タイミングが重要です。通常は経年劣化とともに家賃を下げるため、目的もないままに家賃を上げると入居者が退室する可能性があります。価格を上げる際は、リフォームしたタイミングや設備を新しく交換したタイミングに行うのが望ましいです。タイミングを意識すれば、家賃を上げることはそれほど難しくはありません。
値下げ請求への対応
長期間入居者が住んでいると、入居者が値下げ要求をすることがあります。値下げ要求された場合は、収入と支出をきちんと計算して判断しましょう。長期間住んでいるからといって、気軽に家賃を下げてしまうと、適正価格に合わず損をするかもしれません。
値下げ要求された場合は、計算と調査を行うことが重要です。家賃調査を行うと値下げを行ってもよいか判断がつくため、適正価格で物件を貸せます。値下げを断る場合でも、調査を行っておくと、入居者に合理的に説明できます。
家賃を下げずに物件の価値を上げる方法
家賃を下げることが難しい方は、物件の価値を上げることをおすすめします。物件の価値を高めると、家賃を下げなくても魅力的な物件になり空室リスクを防げます。物件に価値をつける方法を2つ解説します。
金銭面で価値をつける
家賃を下げるのではなく、敷金や礼金を無料にしたりフリーレントを導入したりしましょう。敷金や礼金を無料にすると、新規入居者が来る可能性が上がります。礼金は入居者が決まると資金をすぐ得られますが、空室期間が長い場合は金銭面で価値をつける必要があります。
また、フリーレントを実施する方法もあります。フリーレントを利用して、入居者がその物件を気に入ると空室を埋められます。入居者の初期投資を下げると、金銭面で物件の価値が上がります。
金銭以外で価値をつける
入居者は、物件の特別性を求めている可能性があります。たとえば、壁が分厚く楽器を演奏できる物件などで、楽器を使用可能にすると入居率が上がります。とくにマンションでは、壁が分厚くないと楽器は演奏できないため、物件に価値をつけられます。
ほかには、ペット可にすると入居率は上がります。退去したあとの手入れは大変ですが、マンションでペット可にすることで周りの物件よりも価値をつけられます。また、ワンルーム物件では、一人暮らし用の間取りのため二人入居を断る場合が多いです。ワンルーム物件で二人暮らし可にすると、ほかの物件と差別化できます。
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まとめ
今回は、マンションを貸すときの家賃相場を調べる方法について解説しました。適正な家賃を決めるためには、立地や物件の特徴などを総合的に考えなければいけません。周りの物件と比較するのが望ましいですが、もし適切な価格を調べられない場合は不動産に相談して賃料査定を行ってもらいましょう。
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